「PCキッティングの繰り返し作業に、貴重な時間を奪われていませんか?」 「手作業によるミスや品質のばらつきをなくし、もっと効率的に進めたいと思いませんか?」
多くの情報システム担当者様から、このようなお悩みを伺います。従業員の入退社やPCの入れ替えのたびに発生するキッティング作業は、時間も手間もかかる大きな負担です。
この記事では、PCキッティングを劇的に効率化する「自動化」をテーマに、具体的な手順、ツールの選び方、そして成功のポイントを徹底解説します。非効率な作業から解放され、より戦略的なIT業務に集中するための具体的な方法がわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
PCキッティングに関する基本的な知識から確認していきましょう。セットアップとの違いや、なぜ今キッティングの効率化が求められているのかを解説します。
PCキッティングとは、従業員がPCを受け取ってすぐに業務を開始できる状態に整える一連の作業のことです。単にPCを開封して電源を入れるだけではありません。具体的には、以下のような作業が含まれます。
OSのインストールと初期設定
ネットワーク設定(Wi-Fi、VPNなど)
業務で利用するアプリケーションのインストール
セキュリティソフトの導入と設定
各種アカウント情報の設定
管理台帳への資産情報の登録
これらの設定を一台ずつ行うことで、従業員はスムーズに業務をスタートでき、企業全体のセキュリティレベルも担保されます。
「セットアップ」と「キッティング」は混同されがちですが、厳密には意味合いが異なります。キッティングは、セットアップを包含する、より広範な概念と理解すると良いでしょう。
セットアップ
PCを利用可能な状態にするための基本的な初期設定を指します。OSのインストールや最低限のドライバー設定などがこれに当たります。
キッティング
セットアップでPCが利用可能な状態になった後、さらに企業のポリシーや業務内容に合わせた、より詳細で専門的な設定作業までを含みます。具体的には、業務アプリケーションのインストール、セキュリティ設定、ネットワーク設定、アカウント設定など、複数台のPCを組織の標準仕様に統一し、従業員がすぐに業務を開始できる状態に整える一連の作業を指します。いわば、「企業仕様にカスタマイズし、標準化する作業」がキッティングです。
近年、キッティングの効率化が急務となっている背景には、以下の3つの要因が挙げられます。
働き方の多様化
テレワークの普及により、オフィス外で利用するPCの準備・配送が必要になりました。遠隔でキッティングを行う、あるいは従業員自身に一部作業を依頼するなど、従来よりも複雑な対応が求められています。
人材の流動化
転職が一般的になり、従業員の入退社が増加したことで、キッティング作業の発生頻度が高まっています。
セキュリティ要件の高度化
サイバー攻撃の巧妙化に伴い、すべてのPCに漏れなく最新のセキュリティ設定を適用することが不可欠です。手作業では設定漏れのリスクが高まります。
これらの変化に対応するため、従来の手作業によるキッティングを見直し、効率化・自動化を進めることが不可欠となっているのです。
多くの情シス担当者様が、手作業によるキッティング業務に限界を感じています。ここでは、その具体的な課題を3つのポイントに絞って解説します。
手作業でのキッティングは、1台あたり数時間かかることも珍しくありません。新入社員が数十人規模で入社する時期や、全社的なPCリプレイスの際には、担当者は本来の業務を中断し、キッティング作業に忙殺されてしまいます。
深夜までの残業が常態化する
他の重要なIT戦略業務が後回しになる
担当者のモチベーションが低下する
このように、担当者個人への負担が過度に集中してしまうことが大きな課題です。
手作業である以上、人為的なミスを完全になくすことは困難です。
特定のアプリケーションのインストール漏れ
セキュリティ設定の誤り
アカウント情報の設定ミス
こうしたミスが発生すると、PCを受け取った従業員から問い合わせが殺到し、その対応に追われることになります。結局、修正作業(手戻り)でさらに時間がかかり、生産性を大きく低下させる原因となります。
キッティングの手順がマニュアル化されておらず、特定の担当者の経験と勘に頼っているケースも少なくありません。このような業務の属人化は、以下のようなリスクを生み出します。
担当者の退職や異動で、キッティング業務が停滞する
作業者によって設定内容が異なり、セキュリティレベルにばらつきが出る
とくに、セキュリティ設定の標準化ができていない状態は、ウイルス感染や情報漏洩につながる重大なセキュリティホールとなりかねません。
手作業の限界が見えてきた今、どのような方法でキッティングを効率化すればよいのでしょうか。ここでは、代表的な3つの方法を紹介します。
クローニングとは、1台のPC(マスターPC)に完璧な設定を施し、そのハードディスクの内容を丸ごとコピー(クローン)して、他のPCに展開する方法です。同じ機種のPCを大量に導入する際に非常に有効で、作業時間を大幅に短縮できます。
キッティング専用の自動化ツールを導入する方法です。OSの展開、アプリケーションの配布、ポリシーの適用などを自動で実行できます。クローニングと異なり、機種が異なるPCに対しても柔軟に設定を適用できるのが大きなメリットです。初期コストはかかりますが、長期的に見れば最も費用対効果が高い方法と言えるでしょう。
キッティング作業を専門の業者にアウトソーシング(外部委託)する方法もあります。社内のリソースを一切使わずに、高品質なキッティングを実現できます。とくに、情報システム部門の担当者が少ない、あるいは「ひとり情シス」の企業にとっては有力な選択肢となります。
それぞれの方法には一長一短があります。自社の状況に合わせて最適な方法を選ぶために、以下の比較表を参考にしてください。
方法 | メリット | デメリット | こんな企業におすすめ |
|---|---|---|---|
クローニング | ・短時間で大量のPCを展開できる | ・異なる機種には対応しにくい | ・同一機種のPCを一度に数十台以上導入する企業 |
自動化ツール | ・機種を問わず柔軟に対応可能 | ・ツールの導入・運用コストがかかる | ・定期的にキッティングが発生し、根本的な業務改善を目指す企業 |
アウトソーシング | ・情シス担当者のリソースを完全に解放 | ・外部委託のコストがかかる | ・情シス担当者が不足しており、コア業務に集中したい企業 |
キッティングを自動化することで、単に「楽になる」だけではない、企業にとって大きなメリットが生まれます。
最大のメリットは、作業工数の劇的な削減です。手作業で数時間かかっていた作業が、自動化によって数十分で完了するようになります。これにより、情報システム担当者は単純作業から解放され、社内のDX推進やIT戦略の立案といった、より付加価値の高いコア業務に集中できるようになります。
自動化ツールを使えば、あらかじめ定義された手順通りに作業が実行されるため、人為的なミスが起こりません。どのPCも同じ品質でセットアップされるため、従業員からの「このソフトが入っていない」「設定が違う」といった問い合わせが減り、サポート業務の負担も軽減されます。
企業のセキュリティポリシーに基づいた設定を、すべてのPCに漏れなく、かつ均一に適用できます。これにより、特定のPCだけセキュリティが甘いといった状態を防ぎ、組織全体のセキュリティレベルを高い水準で維持することが可能になります。これは、企業の情報資産を守る上で非常に重要です。
自動化の重要性はわかったものの、「どのツールやサービスを選べばいいかわからない」という方も多いでしょう。ここでは、選定時に必ず確認すべき3つのポイントを解説します。
キッティング作業とIT資産管理は密接に関連しています。キッティングが完了したPCの情報を、そのままIT資産管理台帳に自動で登録できるツールを選ぶと、管理業務が格段に効率化されます。誰がどのPCを使っているのか、ソフトウェアのライセンスは適切か、といった情報を一元管理できるかは重要な選定基準です。
クラウドベースのツールであれば、インターネット環境さえあれば、場所を問わずにキッティング作業の指示や管理ができます。テレワーク中の従業員に新しいPCを送付し、遠隔でセットアップを完了させるといった柔軟な運用が可能になります。
ツールを導入して終わりではありません。実際に運用していく中で、不明点やトラブルが発生することもあります。導入時の設定支援はもちろん、運用開始後も気軽に相談できるサポート体制が整っているかどうかは、必ず確認しましょう。国内にサポート拠点があるか、日本語での対応が可能かもチェックポイントです。
ここでは、PCキッティングの効率化に関して、お客様からよくいただく質問とその回答をご紹介します。
A. 手作業の場合、PC1台あたり1時間〜3時間程度かかるのが一般的です。 インストールするアプリケーションの数や設定の複雑さによって時間は変動します。一方、クローニングや自動化ツールを活用すれば、この時間を数十分程度にまで短縮することが可能です。
A. はい、可能です。 スマートフォンやタブレット端末の場合は、MDM(Mobile Device Management:モバイルデバイス管理)と呼ばれるツールを利用することで、PCと同様に設定やアプリケーションの配布を自動化し、効率的に管理できます。
A. 削減できる人件費(作業工数)と、ツールの導入・運用コストを比較して判断するのが基本です。 例えば、「月10台のキッティングに20時間かかっていた作業が5時間に短縮される」場合、削減できた15時間分の人件費がツールのコストを上回るかを試算します。加えて、品質の標準化やセキュリティ強化といった、金額では測れない定性的なメリットも考慮に入れることが重要です。
PCキッティングの効率化はもちろん、その前後の管理業務まで含めて効率化したい、とお考えではありませんか?
SaaS・IT資産管理ツール「dxeco(デクセコ)」は、キッティング業務の負担を軽減し、IT管理全体の最適化を実現します。
キッティングしたPCはもちろん、社内のあらゆるIT資産(スマホ、周辺機器など)の情報を一元管理できます。誰が、いつから、どのデバイスを利用しているかを正確に把握し、棚卸し作業もアンケート機能で効率化します。
入社時のPC準備やアカウント発行、退職時のアカウント削除やデバイス返却といった一連の作業をToDoリストで管理。対応の抜け漏れをなくし、担当者が変わってもスムーズな引き継ぎが可能です。
「ツールを導入するリソースすらない」という企業様向けに、PCキッティング作業を丸ごと代行するBPOサービスも提供しています。専門スタッフが貴社のポリシーに合わせて高品質なキッティングを実施し、担当者様の負担をゼロにします。
実際にdxecoを導入いただいた企業様からは、 「退職者1名あたりのアカウント処理時間が30分から5分に短縮できた(80%削減)」 「IT資産とSaaSアカウントを一元管理できるようになり、ISMS審査の対応が楽になった」 といったお声をいただいています。
本記事では、PCキッティングを手作業で行うことの課題から、自動化による効率化の方法、そしてその絶大なメリットについて解説しました。
PCキッティングの効率化には、クローニング、自動化ツール、アウトソーシングといった方法があり、自社の規模や状況に合わせて最適な手段を選択することが成功の鍵です。非効率な繰り返し作業から脱却し、担当者が本来注力すべき戦略的な業務に時間を使える環境を整えましょう。
関連記事
コスト削減とは?IT活用アイデアから失敗しない進め方まで徹底解説
詳しく見る
ひとり情シスの属人化を解消する5ステップ!退職リスクに備える完全ガイド
詳しく見る
情シス人材不足の解決策とは?原因とリスクを分析し、アウトソーシングとツール活用の最適解を学ぶ
詳しく見る
情シス