applog

>

コラムトップ

>

セキュリティ対策

>

DSPMとは?データセキュリティの新たな要。重要性からツールの選び方まで完全ガイド

DSPMとは?データセキュリティの新たな要。重要性からツールの選び方まで完全ガイド

2026/9/24

クラウドサービスの利用が当たり前になった今、「社内のどこに、どんな重要データがあり、誰がアクセスできる状態なのか」を正確に把握できていますか?

多くの企業でデータはクラウドストレージ、SaaS、データベースなど様々な場所に散在しています。その結果、管理が複雑化し、わずかな設定ミスや不適切なアクセス権限が、重大な情報漏洩リスクに直結するケースが増えています。従来の境界型セキュリティ対策だけでは、こうした散在する"データ"そのものを守りきることが難しくなっているのが現実です。

この記事を読めば、データセキュリティの新たな要となる「DSPM(データセキュリティポスチャ管理)」の基本から、類似ソリューションとの違い、具体的な導入メリットまでを網羅的に理解できます。自社のデータガバナンスを強化し、情報資産を安全に活用するための第一歩を踏み出しましょう。

DSPM(データセキュリティポスチャ管理)とは?

DSPM(Data Security Posture Management)とは、直訳すると「データセキュリティポスチャ管理」となります。これは、企業が保有するデータが「どこに」「どのような状態で」保存され、「誰が」アクセスできるのかを継続的に監視し、セキュリティリスクを自動で検出・修正するための考え方や仕組み全般を指します。

DSPMを一言でいうと「データに特化したセキュリティの健康診断」

DSPMをわかりやすく例えるなら、「データに特化したセキュリティの健康診断」です。

定期的に健康診断を受けることで、自覚症状のない病気の兆候を発見し、早期治療につなげることができます。同様に、DSPMは社内に散らばる全てのデータに対して定期的な"診断"を行い、情報漏洩につながるような「脆弱性」や「設定ミス」といったリスクの芽を早期に発見し、対処することを可能にします。

DSPMの目的は「どこに」「どんな」データがあるかを可視化し、リスクを管理すること

DSPMの最大の目的は、企業内のあらゆる場所に存在するデータを網羅的に可視化し、そこに潜むリスクを継続的に管理することです。

具体的には、以下のような状態を目指します。

  • データの発見
    どこにデータが存在するのかを把握する

  • データの分類
    それが個人情報なのか、財務情報なのかといった重要度を判断する

  • リスクの評価
    そのデータに誰がアクセスできるのか、不適切な権限が付与されていないかを評価する

  • リスクの修正
    発見されたリスクを修正し、再発を防止する

これにより、企業はデータに対する統制を強化し、情報漏洩やコンプライアンス違反のリスクを大幅に低減させることができます。

なぜ今、DSPMが重要視されるのか?3つの背景

近年、DSPMという考え方が急速に注目を集めています。その背景には、現代のビジネス環境が抱える3つの大きな変化があります。

背景1:クラウドとSaaS利用の爆発的な増加によるデータの散在

現代のビジネスにおいて、クラウドストレージやSaaSの利用は不可欠です。しかし、その利便性の裏側で、データは社内のサーバーだけでなく、AWSやGoogle Cloud、さらには各部門が独自に契約した無数のSaaSへと散在しています。

情報システム部門が把握していないところで、従業員が勝手に利用する「シャドーIT」によって、管理外の場所に顧客情報が保管されてしまうといったリスクも現実のものとなっています。このようにデータが散在することで、どこに重要なデータがあるのかを正確に把握することが極めて困難になり、セキュリティの穴が生まれやすくなっているのです。

背景2:巧妙化するサイバー攻撃と内部不正のリスク

サイバー攻撃の手口は年々巧妙化しており、従来のファイアウォールやアンチウイルスソフトだけでは防ぎきれないケースが増えています。攻撃者は、クラウドの設定ミスや脆弱性を狙って侵入し、重要なデータを狙います。

また、脅威は外部からだけではありません。悪意を持った従業員や、退職したにもかかわらずアカウントが削除されずに残っている「ゾンビアカウント」による内部からの情報漏洩も深刻な問題です。DSPMは、こうした内部・外部の脅威からデータを守るために不可欠なアプローチです。

背景3:厳格化するコンプライアンスとプライバシー保護規制(ISMS/Pマークなど)

個人情報保護法やGDPR(EU一般データ保護規則)など、データ保護に関する法規制は世界的に厳格化しています。また、ISMS(ISO27001)やPマークといった認証を取得・維持するためには、企業が保有する情報資産を適切に管理していることを証明しなければなりません。

これらの規制や認証では、「どこに個人情報があるのか」「誰がアクセスできるのか」を明確に説明することが求められます。DSPMは、監査の際に必要となる証跡(ログ)を効率的に収集・提示することを可能にし、企業のコンプライアンス遵守を強力にサポートします。

DSPMの仕組みは?実現する4つのコア機能

DSPMは、主に以下の4つのコア機能(プロセス)を自動的に実行することで、データセキュリティを維持します。これらは一度きりではなく、継続的に繰り返されるサイクルです。

機能1:データの検出(Data Discovery)|どこにデータがあるかを発見する

最初のステップは、社内外のあらゆる場所に保存されているデータを自動的にスキャンし、「どこにデータが存在するのか」を洗い出すことです。

対象範囲

  • IaaS/PaaS(AWS, Azure, GCPなど)

  • SaaS(Microsoft 365, Google Workspace, Salesforceなど)

  • オンプレミスのデータベースやファイルサーバー

機能2:データの分類(Data Classification)|データの重要度をラベリングする

次に見つかったデータの中身を解析し、「それがどのような種類のデータなのか」を自動で分類し、重要度に応じてラベリングします。

分類の例

  • 個人情報(氏名、住所、マイナンバーなど)

  • 財務情報(売上データ、決算情報など)

  • 知的財産(設計図、ソースコードなど)

  • 機密情報

機能3:リスク評価(Risk Assessment)|誰がアクセスできるか、脆弱性はないかを評価する

分類されたデータに対して、セキュリティ上のリスクがないかを評価します。

評価項目の例

  • アクセス権の評価
    誰がそのデータにアクセスできるか?全従業員に公開されていないか?退職者のアクセス権が残っていないか?

  • 脆弱性の評価
    データが保存されているクラウドストレージの設定に不備はないか?

  • コンプライアンスの評価
    データの保存場所や管理方法が、個人情報保護法などの規制に準拠しているか?

機能4:修復と予防(Remediation & Prevention)|リスクを修正し、再発を防ぐ

最後に、評価によって発見されたリスクに対して、修正措置を講じ、同様の問題が再発しないように予防策を実施します。

修復・予防の例

  • 過剰なアクセス権限の自動修正

  • リスクの高い設定変更を管理者にアラート通知

  • セキュリティポリシーに違反する操作のブロック

【比較表】DSPMと関連セキュリティソリューションとの違い

DSPMとしばしば混同されがちなセキュリティソリューションがいくつかあります。ここでは、それぞれの役割の違いを比較表でわかりやすく解説します。

ソリューション

主な目的

監視対象

アプローチ

DSPM

データ自体の保護

データ(ファイル、DB)

データが「どこに」「どんな状態で」あるかを管理

CSPM

クラウドインフラの保護

クラウド設定(AWS, GCP等)

インフラの設定ミスや脆弱性を検知

DLP

情報の「漏洩」防止

データの流れ(通信)

データが外部に送信されるのを監視・ブロック

SSPM

SaaSアプリケーションの保護

SaaS設定(M365, Salesforce等)

SaaSアプリの設定ミスを検知

CASB

クラウド利用の可視化・制御

ユーザーとクラウド間の通信

許可されていないクラウド利用(シャドーIT)を制御

DSPMとCSPM(クラウドセキュリティポスチャ管理)の違いは?|「データ中心」か「インフラ中心」か

最もよく比較されるのがCSPM(Cloud Security Posture Management)です。

  • CSPM
    クラウドインフラ(サーバー、ネットワークなど)の設定ミスや脆弱性を監視します。「家の鍵が壊れていないか」「窓が開きっぱなしになっていないか」をチェックするイメージです。

  • DSPM
    クラウドインフラの中にあるデータそのものに焦点を当てます。「家の中の金庫に何が入っていて、誰がその鍵を持っているか」を管理するイメージです。

両者は対立するものではなく、CSPMでインフラを守り、DSPMでその中のデータを守るという補完関係にあります。

DSPMとDLP(情報漏洩対策)の違いは?|「データの流れの監視」か「データ自体の状態管理」か

DLP(Data Loss Prevention)は、機密情報がメールやUSBメモリなどを通じて外部に送信されるのを防ぐ「出口対策」ソリューションです。

  • DLP
    データの「流れ」を監視し、不正な持ち出しを防ぎます。

  • DSPM
    データ自体の「状態」を管理し、そもそも不正なアクセスができないようにします。

その他(SSPM, CASB)との関係性

  • SSPM (SaaS Security Posture Management)
    SaaSアプリケーションの設定不備に特化したソリューションです。DSPMはSaaSを含む、より広範なデータの保護を目指します。

  • CASB (Cloud Access Security Broker)
    従業員とクラウドサービスの間の通信を監視し、シャドーITの利用を制御します。DSPMは、CASBが見つけたシャドーIT上にどんなデータが置かれているかをさらに深掘りして管理します。

DSPM導入による3つのメリット

DSPMを導入することで、企業は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主な3つのメリットをご紹介します。

メリット1:データセキュリティリスクの可視化と低減

最大のメリットは、これまでブラックボックス化していたデータのありかを正確に把握し、潜在的なリスクを可視化できることです。「どこに重要なデータがあるかわからない」という漠然とした不安から解放され、具体的な根拠に基づいて優先順位をつけ、効率的にセキュリティ対策を講じることができます。

メリット2:コンプライアンス監査対応の効率化

ISMSやPマークの監査では、情報資産の管理状況について詳細な説明が求められます。DSPMを導入していれば、「どのデータがどこにあり、誰がアクセスできるか」といった情報をダッシュボードから即座にレポートとして出力できます。これにより、監査のたびにExcelの台帳をかき集めるような膨大な準備工数から解放され、監査対応を大幅に効率化できます。

メリット3:ゼロトラスト・セキュリティ実現の促進

「何も信頼しない」を前提にあらゆるアクセスを検証する「ゼロトラスト」というセキュリティモデルが主流になりつつあります。ゼロトラストを実現するためには、守るべき対象である「データ」がどこにあり、誰がアクセスすべきかを正確に定義することが不可欠です。DSPMは、データ中心のアクセス制御を可能にし、ゼロトラスト・セキュリティの実現を強力に後押しします。

DSPMの具体的なユースケース(活用事例)

DSPMは、具体的にどのような場面で役立つのでしょうか。ここでは、代表的な3つの活用事例をご紹介します。

1:機密データ(個人情報・財務情報)の棚卸しと保護

定期的なデータの棚卸しは重要ですが、手作業では膨大な時間がかかり、抜け漏れも発生しがちです。DSPMを使えば、社内に散在する個人情報や財務情報といった機密データを自動で洗い出し、常に最新の「データマップ」を作成できます。これにより、保護すべきデータがどこにあるかを正確に把握し、適切なセキュリティ対策を講じることが可能になります。

2:データへの過剰なアクセス権限の洗い出しと修正

従業員の異動や退職に伴い、特定のデータに対する不要になったアクセス権限が放置されることは少なくありません。特に、退職済みユーザーのアカウントが、機密データにアクセスできる状態のまま残っていると、内部不正や情報漏洩の温床となります。DSPMは、データへのアクセス権限設定を継続的に監視し、セキュリティポリシーに違反する過剰な権限(例:全社公開されている機密データ、長期間利用されていないアカウントに付与されたアクセス権限、あるいは退職済みアカウントに付与された権限など)を自動で検知し、管理者に通知します。これにより、データに対するアクセス権限を常に最小限の状態に保つことができます。

3:管理外のデータ(シャドーIT上のデータを含む)の発見と統制

情報システム部門が許可していないファイル転送サービスやオンラインストレージ(シャドーIT)に、従業員が顧客情報などの機密データを保存してしまうケースは後を絶ちません。DSPMは、こうした管理外の領域に置かれた「野良データ」を自動で発見し、その内容(個人情報など)を分類します。そして、発見されたデータがセキュリティポリシーやコンプライアンスに違反しているリスクを警告します。これにより、シャドーITに起因する情報漏洩を未然に防ぐための情報を提供し、データ統制を強化することができます。

DSPMツールの選び方と導入成功のポイント

DSPMの重要性を理解した上で、実際にツールを導入する際にはどのような点に注意すればよいのでしょうか。選定時の3つのポイントを解説します。

自社の環境(マルチクラウド、SaaS)に対応しているか

自社が利用しているクラウドサービス(AWS, Azure, GCPなど)や主要なSaaS(Microsoft 365, Salesforceなど)にツールが対応しているかは、最も重要な確認項目です。対応範囲が狭いと、一部のデータが監視対象から漏れてしまい、DSPMの効果が半減してしまいます。

データ検出・分類の精度と自動化の範囲

DSPMツールの核となるのが、データの検出・分類機能です。特に、日本語の個人情報やマイナンバーといった国内特有の機密情報をどれだけ高い精度で自動的に識別できるかが重要です。手動での設定やチューニングが多すぎると、運用負荷が増大してしまうため注意が必要です。

既存のセキュリティツールと連携できるか

すでに導入しているID管理システム(IdP)やSIEM(セキュリティ情報イベント管理)、CASB、SSPMなどのツールと連携できるかも確認しましょう。各種ツールと連携することで、リスク発見から対処までのプロセスをよりスムーズに自動化し、セキュリティ運用の全体最適化を図ることができます。DSPMはデータそのものに焦点を当てますが、これらのツールと補完し合うことで、より強固なセキュリティ体制を構築できます。

DSPMに関するよくある質問(Q&A)

Q. DSPMの導入には専門的な知識が必要ですか?

A. 必ずしも高度な専門知識が不可欠というわけではありません。多くのDSPMツールは、複雑なデータセキュリティ状況を効率的に把握できるよう設計されたダッシュボードを備えており、専門家でなくてもリスクをわかりやすく可視化してくれます。これにより、データ管理の専門家でなくとも、リスクの兆候を把握しやすくなります。ただし、検出されたリスクの重要度を正確に判断し、適切な対処方針を決定するためには、ある程度のセキュリティに関する基礎知識があると、より効果的にツールを活用し、強固なセキュリティ体制を構築できます。

Q. 中小企業でもDSPMは必要ですか?

A. 必要です。サイバー攻撃は企業の規模を問いません。むしろ、セキュリティ対策に十分なリソースを割けない中小企業こそ、手作業でのデータ管理には限界があるため、DSPMによる自動化の恩恵は大きいと言えます。クラウドサービスの利用が少しでもあれば、データ散在のリスクは等しく存在します。

Q. 導入にかかる費用や期間の目安は?

A. 費用は、監視対象のデータ量やユーザー数、利用する機能によって大きく異なります。多くのツールがクラウドサービス(SaaS)として提供されており、SaaSモデルの特性上、比較的初期費用を抑え、月額料金で利用できるケースが見られます。導入期間も、クラウド型であれば比較的短期間でスモールスタートが可能です。まずは自社の状況をベンダーに相談し、見積もりを取ることをお勧めします。

まとめ|DSPMはデータ中心時代のセキュリティ戦略の要

本記事では、DSPM(データセキュリティポスチャ管理)の基本から、その重要性、仕組み、関連ソリューションとの違いまでを網羅的に解説しました。

  • DSPMとは
    「データに特化したセキュリティの健康診断」であり、データの可視化とリスク管理を目的とする。

  • 重要性の背景
    クラウド利用によるデータの散在、サイバー攻撃の巧妙化、コンプライアンスの厳格化がある。

  • メリット
    リスクの可視化、監査対応の効率化、ゼロトラストの促進に繋がる。

DSPMは単なるセキュリティツールの一つではなく、「データこそが最も守るべき資産である」という現代のビジネス環境において、企業のデータガバナンスを根幹から支える重要な考え方です。データ中心のセキュリティ戦略を構築し、ビジネスを安全に加速させるために、DSPMへの理解を深めることが今まさに求められています。


DSPM導入の第一歩は、まず自社にどのようなデータが、特に管理が難しいSaaS上に存在しているかを把握することから始まります。

SaaSの利用状況の可視化やシャドーITの検知、不要なアカウントの棚卸しを効率化する「SaaS管理ツール」の導入が、その効果的な一歩となります。

ご興味のある方は、SaaS管理におけるリスクとコストを可視化する「dxeco」のサービス資料をぜひご覧ください。

SaaS管理・IT資産管理ツール「dxeco」のサービス詳細資料

    セキュリティ対策